腹筋の上・中・下部が使えているかのテストです。
勢いをつけずに上体を起こします。この3つの段階を膝や足が浮かずにできれば腹筋群はちゃんと使えてます。
体幹をシットアップで鍛える必要がないというトレーナーもいますが、このシンプルな動きもできないアスリートがいるので、それは違います。 pic.twitter.com/aOrokgwchN— 桑原秀和(Hide. Kuwabara)🇳🇱🇧🇪 (@HiddeKuwabara) May 10, 2020
前回は、内臓疲労がパフォーマンスに繋がるため、ケアをした方が良いというお話を事例と共にご紹介しました。
今回は、内臓の調子を整えることを意識した腹筋についてご紹介します。
「普段から食べるものに気をつけているのに・・・」お腹の調子や便通が悪くなる経験をされたことはないでしょうか?
実は、内臓の調子は食事以外でもアプローチができます。
内臓からコンディションを高めることを目的に参考にしてみてください。
腹筋が内臓コンディショニングに繋がる理由
腹筋がなぜ内臓を元気にさせるかということには、2つの理由があります。
理由(1)
腹筋をすることで腹腔内圧というお腹の中の圧が高まり内臓を正しい位置に引き上げてくれる効果があります。この腹腔内圧が下がると内臓は下の方に下がっていきしっかりと働いてくれません。
また、内臓は適度な刺激が必要であるので、腹腔内圧が下がると内臓にかかる圧も低下して弛んでしまいます。
適度な緊張はより高いパフォーマンスに必要だとスポーツ選手やビジネスの場面でもよく言われますが、これは内臓にも当てはまります。
理由(2)
腹筋がうまく使えることで自律神経のうちの内臓の働きに関わる副交感神経が優位に働くようになるからです。
これは、大学院の研究でも明らかにされていて、4週間の腹筋運動を行なったグループでは副交感神経の割合が増加したことが報告されています。
ここで気をつけていただきたいのは、運動直後では副交感神経の増加がみられなかったため、継続的に運動することで副交感神経優位な体にすることができると予想されることです。
研究では言われていませんでしたが、長期的な腹筋運動をすることで、背骨の柔軟性の向上がみられたことも一つの要因で、副交感神経が増加したのではないかと私は考えています。
トレーニングの方法
基本的な腹筋運動の紹介です。
腹筋運動は実は上·中·下部の腹筋を刺激する3つの運動に分けることができます。
上部の腹筋
肩甲骨が地面から離れたところまで上体を上げていきます。このときに上部の腹筋に刺激が入ります。
中部の腹筋
肩甲骨が離れた後、さらに上半身を上げていきちょうど45度まで行かないところまで上げると中部の腹筋が刺激されます。
下部の腹筋
上体を行けるところまで起こしていくと、下部の腹筋が刺激されます。
このように3つの段階に分けて、腹筋を意識してトレーニングしていきます。
回数やセットなどは、自分の体の状態に合わせてやってみてください。
ポイント
上部と中部の腹筋を使うときにしっかりと背骨を丸める意識をします。そうすることによって上部、中部の腹筋がより刺激されて、効果的に鍛えることができます。
腹筋してる最中や後に腰が痛くなるような人は、この背骨を丸めるということがうまくできていないのが原因なので、しっかり意識してやってみてください。
下部の腹筋は、なかなか使われずらいところです。運動中に手で下腹部を押してあげるなどして刺激を入れると意識しやすくなります。また、膝の間にタオルなどを挟みながら行うと下腹部により刺激が入ります。
なるべく足の付け根と下腹をくっつけるように意識して体を持ち上げます。(骨盤を起こして、股関節を挟むようなイメージ)
まとめ
今回は基本的な腹筋の方法をお伝えしました。これをベースにねじる動きや他の種類の腹筋運動を取り入れてもいいと思います。
普段から腹筋を取り入れいているアスリートにとっても、腸のコンディショニングを意識して今回の腹筋動作を行なっていくのもおすすめです。
みなさんは、夏が近づいたから腹筋を始めなきゃと思う時もあったかもしれませんが、これを読んで、内臓のために腹筋をしなきゃと思うようになってくれたら嬉しいです。
腹筋をして、内臓力を高めていきましょう!
参考文献
三浦美佐,伊藤修,上月正博 (2013) 健常成人において腹筋運動と腹部電気刺激療法が心臓自律神経に与える影響, 筑波技術大学 保健科学部/ 東北大学大学院 医学系研究科 筑波技術大学テクノレポート Vol.21 (1)