前回同様、日本代表の招集期間に行っているトレーニングについて解説していきます。今回は、冨安選手が行っている壁に手をついてスピーディーに腿上げをするトレーニングメニューです。
以下の写真のように、体を斜めに倒して壁に手を当てて、足を素早く上げていくような動作を行なっていきます。
このトレーニング法は、よく陸上の選手の練習で見られるものでもあります。
トレーニングの目的
このトレーニングの主な目的としては、走りの加速を改善させるため行われます。人が静止している状態から走るときには、体を前に倒して地面からの反力を使って加速していきます。そのため走りの加速場面と似ている体の傾きを作り、より安定して力強く走ることができるように、このようなトレーニング法を採用しています。(※サッカー日本代表では別の目的で行われているかもしれません。)
トレーニング3つのポイント
◆脚の力を地面に効率よく伝える
◆体幹部の安定性を高める
◆脚の入り変えを早くする
3つのポイントを注意して行うとより効果的に行うことができます。
3つのポイントの解説
脚の力を地面に効率よく伝える
走りの加速時には、足で地面を押し出すときに地面から跳ね返ってくる反力を使って前進に推進していきます。このときに床からの反力が効率よく体に伝わるためには、足が地面につく瞬間に体全体が真っ直ぐになっている必要があります。そうすることで、床からの反力を体幹部そして、上肢まで伝えることができ、効率よく前方に加速できるようになります。
このトレーニングの場合は、床からの反力がしっかりと壁に伝わることが大切なため腕で壁をしっかり押せていることがポイントになります。
体幹部の安定性を高める
脚の力を地面に効率よく伝え、その跳ね返りを使って効率よく走ることが大切だとお伝えしましたが、これを達成するための一つの要素として体幹の安定性が大切になります。このトレーニングでは、手と足が壁と地面の両方から反力を受けていて、その反力が体幹部でぶつかります。そのため体幹部の筋活動を高めやすく冨安選手のように正しい姿勢で行えれば体幹部の安定性を高めることもできます。
実際にこのトレーニングをやってみて、肩や股関節が疲れるだけでなく体幹部にも刺激が入っていれば、正しく行えている指標にもなります。
脚の入り変え時に腸腰筋を使う
加速が速い選手の特徴として、上記の2つが挙げられますが、他にも腸腰筋をしっかりと使えていることが大切になります。腸腰筋を使えているポイントとして、地面から上げた方の膝がしっかりと曲がったままキープできているかが大切になります。理想としては膝が一番高い位置にある時に膝の角度が90度よりも少ない角度でキープできていることです。
足を上げた時に膝が伸びてしまう人は、腸腰筋ではなく股関節屈曲作用と膝伸展作用がある大腿直筋という筋肉をより多く使ったりしてしまっている可能性があります。
他にも細かくいうと、足首や膝の角度などいくつかポイントはありますが、この3つのポイントが一番大切なポイントだと考えていますので、意識してやってみてください。
トレーニングの方法
以下の写真のように体を斜めに倒して両手を壁につけて体を支えます。そして、右膝をできるだけ高く上げます。
最初の姿勢をキープしたまま、できる限り速く左脚、右脚と足を切り替えてといきます。
(右→左→右 と脚を素早く切り替えていき、これを1回とする)
まとめ
今回は、日本代表の冨安選手が代表の招集期間に行っている走りの加速を改善させるトレーニングを紹介してきました。
ポイントとしては、脚の力を地面に効率よく伝える、体幹部の安定性を高める、脚の入り変えを早くする、という3つのポイントがあり、これらを意識して行うことで、トレーニング効果を最大限に引き出して行うことができます。
是非参考にして、走りの改善のためにトレーニングしてみてください。
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※今回ご紹介した動画は「JFATV」様の貴重なyoutube作品です。