年間を通して多い悩みの1つ【なかなか食べてくれない子供や選手に対しての向き合い方】
これからの時期は暑さでより多くなる悩みの1つですね。
スポーツ現場にいるとこの問題は気にしている監督さんやコーチや親御さんが多いです。
まず勝利を追求するあまり、厳しい食事制限や、逆に無理やりたくさん食べることを強制されて、トップ選手だけでなく、部活動でスポーツをしている子供たちも悩んでいる現状があります。
「食べること」にいいイメージがなくなり、摂食障害を引き起こす選手も見てきました。
そこには様々な環境が大きく関わります。食というのは生活に密接だからこそ一歩間違うとこういった怖い障害にも繋がるのです。
そういった面も踏まえた上で、現場で動く栄養士として、このような問題にどう向き合っているのか、4つのポイントに分けて私なりに書いてみたいと思います。
4つのポイント
1,競技特性や競技環境を理解する
例えば、審美系のスポーツである新体操やバレエなどは、見た目を気にするあまり食べることにいい印象を持っていないことも多いです。
また陸上の長距離選手も軽いほうが速く走れるからと体重を減らすことが大事になり、なかなか食べようとしません。
その結果、無月経などの選手も多く出てきて、不調が起こり、食べることをいきなり要求されることもあります。
逆に野球やラグビーなどの競技や階級別の競技である柔道やレスリングなどは、『吐くまで食べろ』のような教えもまだ消えていない現場も多く、食べることにマイナスな要素を感じている選手が多いです。
競技特性やその選手が生活してきた環境などをリサーチして理解する事からまずはスタートです。
そこの問題を抱えている選手にいくら『食べよう』と言ったところで食べることは難しいと考えます。
そこに寄り添い、強制せず、ゆっくり紐解いてあげることが一番の近道です。
2,1日のトータルで考える余裕を持たせること
『三食+補食でしっかり食べればいいと思えたことで心に余裕ができた』
『一食でたくさん食べて完璧にしなくていいと思えると食事が楽しい』
このような感想をよくもらいます。
私は「1日のトータルで、食事は考えてほしい」とよく選手に伝えます。
もちろん食べることが大事であるということや、1日に必要な食事の量などを可視化して見せてあげてから、この取り組みをやっていくことがポイントです。
プロではない選手であれば、1週間のトータルでしっかり食べれていたら良いくらいの気持ちでいてあげることが大事になってくるのではないかと思います。
そのスタンスで選手に接すると、笑顔で食事を囲んでくれるようになり、自然と食べる量や食べるものが変わってくることを実感します。
今食べられなかったから補食でその分しっかり食べよう!そう思わせることが選手の自立にも繋がります。
3,食べやすい食事内容に変えていくこと
1,2は心やスタンスの話がメインでしたが、次は食にしっかりフォーカスした内容になります。
せっかく作ったものを残されてしまうととても悲しいですよね。
私もそういう想いをしたことも多くあり、その度にどうやったら食べてくれるかなとよく考えます。
その中で、子どもたちや選手の練習後や合間などに反応が良かったものがありますのでいくつか紹介します。
・ライスボール
よくおにぎりなどを補食に握ってくださる親御さんやマネージャーさん。
たくさん食べてほしいからと大きな三角のおにぎりを握っていませんか?
もしそれがなかなか食べないようだったら、50グラムほどの丸いおにぎり(ライスボール)をぜひいくつか作ってあげてください。
視覚的に50gくらいですと少量に感じ、短い間でこのくらいなら…と手が伸びやすいようです。
・丼、麺類
合宿中の練習の合間はよく丼物や麺類でさっと食べられる状態で食事を出します。
お弁当も麺類や丼物の方が選手も食べが良いです。
ただ丼や麺類は咀嚼数が落ちてしまうので、あまりにも続くのは良くないです。
昼に出したら、朝夜は、ご飯でしっかり食べていけるようにしていきましょう。
・汁物
特に朝に飲んでほしいです。
汁物は野菜類、海藻類、きのこ類をはじめ、タンパク質の豆腐や卵などなんでも入れられます。
朝なかなか食べる習慣がない子も多いですし、なかなか朝から野菜を食べてくる子も少ないです。
朝に汁物を飲むという癖を早いうちからつけておくのはもちろん、汁物なら比較的食べてくれます。
・春雨サラダやスープ
春雨と野菜を和えたサラダやスープは結構ウケが良いです。
つるっと行きやすいようで、野菜にも抵抗感がなく食べてくれる印象があります。
・香味野菜や香辛料をうまくつかう
しょうがやにんにくはもちろん、カレー粉が凄く反応が良いです。
野菜炒めに少しカレー粉を加えてみたり、魚にカレー粉を振って揚げ焼きにいてみたり。
ちょっとした香味野菜や香辛料で、食欲がだいぶ違ってきます。
4,普段の水分量を意識すること
普段の水分量は、意外と見落としがちな点です。
脱水状態であると、もちろん食欲は減ります。
練習の時は飲んでいる選手も多いですし、指導者も気を使うポイントかと思いますが、日常まではなかなか把握が難しいですね。
よく学生に日常でどのくらい飲んでる?と聞くと1日500〜1000ml以下の子も多いのが現状です。
一流の選手は、常に水分補給をしています。ミーティング中でもペットボトルを片手に持っています。
1度に吸収できない水分ですので、こまめに日常的に摂れるように水筒などを持参させて積極的に水分を摂る環境を作り出しましょう。
水分補給の仕方やポイントはこちらの記事をぜひ参考にしてみてください!
>>>【アスリートの熱中症対策!】オススメな水分補給3つのポイント
以上4点いかがでしたでしょうか?
長く現役を続けていくためにとても大事なポイント!
・食べることと上手く付き合っていくこと
・食べることに嫌なイメージを持たないこと
ぜひ、なにか参考にして頂き、子どもたちや選手と向き合い続けてほしいと思います!