運動後の栄養補給は、運動の効果を高めるために重要ですよね。
こうした栄養補給は、戦略的なリカバリーとして、スポーツの現場で実践されています。
戦略的リカバリーにおいて、特に重要なことは「糖質補給」です。
では、どのように糖質(グリコーゲン)を補給していくべきなのか、
運動時のリカバリーと日常的な(24時間での)リカバリーの2つの視点からのアプローチについてご説明いたします。
日常的リカバリーについては、前回コラムをご確認ください。
これは、1日に必要な糖質摂取量の目安を把握することがポイントでした。
今回は、運動時の早期リカバリーについて述べます。
糖質中心に運動時のエネルギー補給をする
筋肉(および肝臓)には、運動時のエネルギー源である糖質(グリコーゲン)が蓄えられています。
しかし、糖質は、運動により消費されやすいため、消費された分を取り戻す(リカバリーする)必要があります。
糖質は、
運動により失われた量 < 食事により摂取した量
となって、初めて筋肉に貯蔵(ストック)されます。
この貯蔵分が運動時のエネルギー源となります。
そのため、特に、試合やハードなトレーニング時においては、貯蔵分を考慮した食事が必要となってくるのです!
国際的なガイドラインであるIOCのコンセンサスにおいても、食事由来の糖質摂取に焦点が当てられています。
このガイドラインは、糖質摂取目標量を運動時の早期リカバリーと日常的なリカバリーに分類しています。
◆糖質摂取ガイドライン(早期リカバリーによりパフォーマンスを調整する場合)
Burke LM et al, Carbohydrates for training and competition. J Sports Sci,2011より一部抜粋・改変
※運動前1時間なら 体重1kg × 糖質1g、2時間前なら 体重1kg × 糖質2g という様に、消化にかける時間を考慮しています。
このように、運動前・中・後に分けて、戦略的なリカバリーが継続できると、競技やトレーニングの質が高められると考えられます。
特に、運動直後のリカバリーは重要です。
では、運動時だけしっかり補給すればよいのか?
そんなことはありません。
1日に必要な糖質がしっかり補給できた状態で、運動時のリカバリーを行うと、パフォーマンスの向上が期待できます。
例えば、1日に必要な糖質が350gであるアスリートが、
運動1時間前に50g、運動中に40g、運動直後に60gの糖質を補給したとします。
この場合、
350g-(50g+40g+60g)=250g
あと250gの糖質を24時間以内に取るような食事計画を立てることができると、運動時の早期リカバリーと日常的なリカバリーを組み合わせた戦略的なリカバリーとなるわけです!
まとめ
リカバリーを目的とした栄養補給は糖質を中心に、筋肉へエネルギー(グリコーゲン)を貯蔵することが重要となります。
・運動時の早期リカバリーを行う
・運動時の早期リカバリーを実践した後、日常的なリカバリーも実践する
ガイドラインを参考に、実践してみてくださいね。