今回は、FCバルセロナで行われているコンディショントレーニングの一つであるバランスボールの上でのメディシンボールを使った腹筋エクササイズについて解説させていただきます。
まずはエクササイズのやり方について見ていきます。
エクササイズのやり方
下の写真のようにバランスボールの上に乗り、メディシンボールをもちます。
そして、上半身をメディシンボールと共に起こしていきます。
別の角度から見るとこのような姿勢になります。
バリエーションとして体を起こす時に左右に捻りの動きを入れることもしていきます。
エクササイズの目的
コーディネーションと安定性の向上
このエクササイズでは、バランスボール上で行うことにより、不安定な状態になります。
そのため、お尻と体幹の筋肉を使いながらバランスをとっていく必要があります。
このバランスを取ることは、大きな筋肉よりもより関節の奥にある小さな筋肉に刺激が入り、バランス能力の向上、そして、コーディネーションの向上に影響を与えることができます。
また、このエクササイズのフォームでは骨盤や体幹部の安定性に関与するお尻の筋肉を使いながらバランスを取るため、骨盤や体幹部の安定性の向上にも役に立ちます。
胸郭の動きの改善
バランスボールの丸みを利用して両腕を頭の上に上げたときに胸郭の伸展の可動域を作ることができます。
そして手で持っているメディシンボールを前方に押すことによって、胸郭の屈曲の可動域を出すこともできます。
さらに今回のエクササイズでは捻りの動きを入れていることもあり単純に伸展、屈曲の胸郭の可動域を出すだけではなく、それに伴って回旋の動きの可動域も向上させることができます。
このエクササイズの良い所としては、メディシンボールを持って行うことで、上肢に対しての負荷が高まり普段のトレーニングでは出にくい胸郭の伸展の可動域をより簡単に出すことができることです。
そして胸郭の伸展の位置から胸郭の屈曲へもっていく際に上肢の動きを連動させることで、上肢と体幹部をつなぐ筋肉である広背筋にも刺激が入り、上肢と体幹部の連動も高めてくれます。
エクササイズのポイント
今回のエクササイズのポイントとして3つ紹介させていただきます。
1)腰をそらずに股関節と胸郭を使う
このエクササイズでは、体全体の反る動きである伸展の動作がメインになります。
そしてこの伸展の動作をするときにとても大切な事は、股関節の伸展と胸郭の伸展の動きをしっかりと出すことです。
しかし、この2つの部位の伸展の動きを出せない場合には、その代償動作として腰を反る動きをしてしまいます。
そうすると骨盤や体幹部が安定せず無理な状態で動作を行ってしまうため、腰痛や他の怪我の原因になることがあります。
そのため、腰をそらさずに股関節の伸展と胸椎の伸展をしっかり出せるよう意識して行うことがとても大切です。
2)体の中心に向かって力を集中させる
体の中心に向かって力を集中させると言う事はとても抽象的な表現になってしまいますが、体を正しく使う上ではとても大切な感覚になります。
この感覚というのは、例えば脚であれば外側に両足が広がらずにしっかりと内側に閉まるような感覚を持つこと、そして上肢であれば肩や腕の外側の筋肉をメインに使うのではなく脇が閉まるような方向に筋肉を使う感覚のことを指します。
具体的な筋肉で言うと、脚では臀筋群と内転筋群、そして上肢では前鋸筋と広背筋の筋肉です。
そして、これらの筋肉が同時に使えることで体全体が連動して体幹部に対しての腹圧を高めることができます。
そしてこの体幹部の腹圧を高められることで、骨盤が安定してぶれないより効率的な動きができるようになります。
3)手足を使う感覚を覚える
このエクササイズでは両足が地面につき、両手でメディシンボールを持ちます。
そして、この両足を地面につく感覚とメディシンボールを手で持つ感覚というのがとても大切になります。
まず両足ですが地面にただ単につくのではなく、足裏全体で地面をしっかりと押すことを意識します。
足の外側だけで押したり、踵だけで押したり、つま先でだけで押したりせず足裏全体で押すことで、その床反力がしっかりと体に伝わり最終的に体幹部まで伝わっていきます。
次に両手ですが、指の第一関節からしっかりとメディシンボールをつかむようにします。
そして特に小指のほうの力が抜けやすいので、中指から小指にかけて3指にしっかりと意識を持っていき、メディシンボールを持ちます。
さらにその手の感覚と同時に脇を締める意識というのをもつと、さらに上肢から体幹部までのつながりを意識することができやすくなります。
まとめ
今回は、FCバルセロナで行われているコンディショントレーニングの一つであるバランスボールの上でのメディシンボールを使った腹筋エクササイズについて解説させていただきました。
この腹筋のエクササイズは単に腹筋の筋力を高めるためのエクササイズではなく、どちらかと言うと体全体のコンディショニングのエクササイズになることをお伝えしてきました。
このエクササイズをすることでバランス能力やコーディネーション、そして骨盤の安定性の向上につながっていきます。さらに、普段の運動では動きが出づらい胸郭の伸展の可動域の改善にもつながっていきます。
具体的なエクササイズのポイントとしては、股関節と胸郭の伸展をしっかり出すように意識すること、体の中心部に向かって力を出せるようにすること、そして足と手をしっかりと意識して使えるようになることというのがポイントになります。
ぜひ参考にしてみてください。
※今回ご紹介した動画は「