今回はメキシコのサッカーチーム「ネカクサ」が行なっている四つ這いのトレーニングを解説していきます。
四つ這いや四つ這いに近い形で行うトレーニングの代表として知られているのがプランクのようなトレーニングです。
このようなトレーニングは非常に難易度が高く、ほとんどの人は体幹を固めて行なってしまい、パフォーマンスを上げることができません。
そのため、肩甲骨の使い方や体幹部、股関節の使い方をマスターした上で行うことで体幹を固めないように四つ這いのトレーニングができるようになります。
本記事では、このことを掘り下げてどのようにしたら体感を固めないようにできるのかということに触れたいと思います。
体幹を固めてはいけない理由
体幹トレーニングというのは、かなり流行ったトレーニングの一つでもあり多くのサッカークラブでプランクのトレーニングが導入されてきました。しかしほとんどの人の場合、お腹にギュッと力込めて、肩もすくめて行なっているのが現状です。
この場合だと、お腹周りのアウター筋である腹直筋や肩周りのアウター筋を使ったやり方で行ってしまいます。
私の他の記事を読んでいただいた方にはもうわかると思いますが、このアウター筋使ってトレーニングをしてしまうとアウター筋自体が大きい筋肉のためエネルギー消費が激しく、疲れやすい体になります。
また、体全体のつながりがもてない分、関節への負担も増大し、痛みを抱える問題にもつながりやすくなります。
このような使い方でプランクなどの四つ這いのトレーニングをしているとパフォーマンスが下がり、怪我もしやすくなる恐れが出てきます。
体幹を固めないようにする四つ這い
体幹を固めないようにする四つ這いを行えるようになるには、肩甲骨の使い方や体幹部、股関節の使い方をマスターすることが大切です。
四つ這いにおいて、上肢で体を支えることになりますが主に肩甲骨周りの筋肉で支えるイメージが大切になります
特に脇の下のあたりの筋肉(前鋸筋)が意識できると体幹部を固めないための肩甲骨の使い方になります。
体幹部に関しては、
力を入れるというよりもリラックスさせるか少しお腹を膨らますイメージで行うとインナー筋である内外腹斜筋や腹横筋がより働きやすくなります。そして、前鋸筋と外腹斜筋が筋膜でつながっているため腕から体幹部にかけてのつながりを持ちやすくなります。
股関節に関しては、
少し骨盤を前傾させて下腹部と鼠蹊部の内側に意識を向けて、腿の内側を使って両足で股間部を少し絞るイメージを持って行います。そうすることで内転筋から腸骨筋、横隔膜とつながりを持つように行うことができます。
以前の記事でこの3つの使い方について書かせてもらったものがあるので、こちらに載せます。
肩の使い方について
体幹部の使い方について
股関節の使い方について
以上の3つの記事も読んでいただくとよりイメージしやすくなると思います。
それでは、実際に上記のことを意識した上でトレーニングに移っていきたいと思います。
トレーニングの方法
後ろで四つん這いになっている選手に注目ください!
写真のように、四つ這いになってもらいます。(脚に巻いているバンドはより負荷を高めたい時に使ってください)
この四つ這いの姿勢で、ケトルベルを片手で持ち持っている側の腕の方向にスライドさせます。
前面のつながりを作るためにはこの四つ這いが効果的
体幹部を固めないようにする四つ這いするためには肩から股関節までのつながりを持つことをお伝えしてきました。
この肩から股関節までのつながり(前鋸筋から内転筋まで)は体の前面をつなげる役割をしています。
先ほどは四つ這いでのトレーニングは難易度が高く間違えればパフォーマンスを下げる恐れのあるトレーニングと説明もしましたが、正しく行うことで前面のつながりを作る上では、非常に効果が高いトレーニングになります。
つまりハイリターン・ハイリスクのトレーニングになるということです。
なぜ?前面のつながりを作る上で効率良いのか?
なぜ、この四つ這いでのトレーニングが前面のつながりを作る上で非常に効果が高いトレーニングになるのかというと、人間の姿勢反射というものを利用することができるからです。
姿勢反射とは、スポーツに限らず姿勢が崩れた時に重力に抵抗して反射的に姿勢を保持したり、安定させたりする人間が持っている反射反応のことを言います。
先日私のツイッターの方でもこのようなツイートをさせていただきました。
⭕️スポーツ動作に関わる姿勢反射
1)緊張性迷路反射
2)対称性緊張性頸反射
3)非対称性緊張性頸反射
4)足蹠反射理にかなった動き、力強いフォーム、武道の動きなどは、全て姿勢反射を有効利用して成り立っている。
ここら辺はおさえてトレーニングにも活かしておきたい。
— 桑原秀和(Hide. Kuwabara)🇳🇱🇧🇪 (@HiddeKuwabara) January 7, 2021
そして、この四つ這いに関しては、伏臥位になることで緊張性迷路反射が働き、背部の筋肉が緩みやすく腹部の筋肉が活性化してきます。また、手足に関しても曲げる方の筋肉が活性化するので、前面のつながりを作りやすくなります。
まとめ
四つ這いやプランクでのトレーニングは、難易度が高いですがしっかりと体全体をつなげる意識を持てることで効果的なトレーニングになります。
指導する側としてスポーツチームなどではこのようなトレーニングは全体のトレーニングで導入しやすいのでよく目にすることが多いですが、より質を高めたトレーニングを行なってもらうためには、一人一人できているかをチェックして行なってもらうことがとても大切です。
選手として行う場合も上記で説明した意識の仕方でチャレンジしてみてください。初めのうちはわからないと思いますので、そのときは肩甲骨の意識の仕方だけをトレーニングしたりと、各部位で分けてトレーニングをするとより簡単にできるのでおすすめです。
是非参考にしてみてください。
※今回ご紹介した動画は「Club Necaxa」様の貴重なyoutube作品です。