今回は、原口選手が行っているフローインを使ったサイドランジのエクササイズについて解説していきます。
フローインとは、スウェーデン初のトレーニング器具です。床に敷くシートと手・足などを置くパッドで構成され、床の摩擦を少なくすることで従来のトレーニングでは行えない不安定かつ自由な動きを作ることができます。そのため、体幹トレーニングなどを含めた体全身の連動を作るために役立つトレーニング器具でもあります。
フローインのトレーニング器具は、ヨーロッパのサッカークラブでもよく使われているトレーニング器具の一つで、特にウォーミングアップやファンクショナルトレーニング、リハビリなどに使われています。私が以前働いていたサッカークラブでも実際に使われていました。
それでは、実際にこのフローインを使ったサイドランジのエクササイズのやり方をみていきましょう!
エクササイズの方法
はじめに、以下の写真のように右足をフローインのパッドの上に置き立ちます。
(原口選手の場合は、フローインのサイドランジのエクササイズに円盤を持つ組み合わせで行っていますが、エクササイズのポイントのところでその理由について解説します。)
次に、先ほどの姿勢から、ゆっくりと左膝を曲げて、腰を下げていき、以下の写真のようなサイドランジの姿勢になります。右膝は伸ばしたままです。
エクササイズのポイント
原口選手が行っているこのフローインを使ったサイドランジは、通常のサイドランジと比べて、自分の体の軸を作りやすいのが特徴です。また、脚の内側の内転筋群を意識しやすく、内転筋群を使いながらサイドランジをすることが可能になります。さらに、原口選手が円盤を持ってサイドランジを行っていますが、これは、胸郭と骨盤の分離を促すことを目的として行えるようになります。
より詳しい解説
体の軸を作る
通常のサイドランジでは、立った状態から横に重心移動をさせて、サイドランジを行っていきます。ですがフローインを使ったサイドランジでは、上半身の位置をほとんど変えずに足だけを側方に移動させながら、サイドランジができるため自分の体の軸を認識しやすくなります。上記の原口選手の写真で言えば、体の左側に軸を認識したままエクササイズを行うことが可能になります。
内転筋群への意識
フローインを使うことで、内転筋群に対してより刺激を入れた状態でサイドランジを行うことが可能になります。この内転筋の働きは特にサイドランジの姿勢から、立位の姿勢に戻るときに活性化していきます。通常のサイドランジに限らず、スクワットやランジのエクササイズでは、この内転筋群を働かせながら行うことが難しいです。また、様々な動作時に内転筋群がうまく共同で働かないと膝の怪我やハムストリングスの怪我につながることがよくあるので、この内転筋群の働きはとても重要になります。そのため、このフローインのサイドランジエクササイズはとても有効的なエクササイズと言えます。
円盤を使った胸郭と骨盤の分離
今回のサイドランジのエクササイズの場合、円盤を手で持って行っています。
これは、胸郭と骨盤の分離を促すためにとても有効な手段です。ここでいう、胸郭と骨盤の分離とは、胸椎の伸展と骨盤の前傾の共同の動きになります。スクワットやサイドランジのような腰を落とすエクササイズでは、この胸椎の伸展と骨盤の前傾の共同の動きができていることがとても重要になります。というのも胸椎の伸展の動きと骨盤の前傾の動きが分離して動けることで、大腰筋という体幹の深部の筋肉と内転筋群の連動を作ることができるようになるからです。この連動が作れることで、体の軸が通ったバランスの取れた動きを作ることができるようになります。
この円盤の持ち方には2つのポイントがあります。一つ目は、小指、薬指、親指を中心に握るということです。2つ目は、肘の高さを90度に保ち、少し脇を絞めるようにかたを外旋させていくことです。この2つのポイントを意識することで、円盤を肩の筋肉で持ち上げるのではなく、脇の下と背中で持ち上げることができます。脇の下と背中で持ち上げることで、胸椎が伸展方向に働きより胸郭と骨盤の分離を促せるようになります。
まとめ
今回は、サッカー日本代表の原口選手のエクササイズ、フローインを使ったサイドランジにについて解説してきました。
この円盤を持ってフローインを使うサイドランジでは、通常のサイドランジよりも体の軸を認識しやすくなり、内転筋群への刺激、そして胸郭と骨盤の分離を促せることができるようになります。
これらを促せることで、体全体の柔軟性の改善や筋出力の改善、そして運動パフォーマンスの向上につながることになるので、とても有効なエクササイズの一つになります。
エクササイズの意識の仕方ややり方を間違ってしまうとこのような効果が見られなくなってしまうため、正しい指導のもとで行えるようにしてみてください。
編集部オススメ記事
※今回ご紹介した動画は「JFATV」様の貴重なyoutube作品です。