今回ご紹介するトレーニングは、あの怪物イブラヒモビッチ選手ですら、まじめに行う基礎的な動作トレーニングです。※上記2枚目の動画です。動画画面右をタップすると切り替わりますよ。
現在ケガでリハビリに励んでいる選手、アジリティなどのパフォーマンスの向上を目指す方、またケガの多さに悩まされている選手に、ケガ予防、パフォーマンス向上を目的に、改めて自分自身の身体の動きを見つめなおす機会となって欲しいと思います。
なぜ、止まる動作が重要?
白熱しているワールドカップを見ていても感じることは、アジリティに優れている選手は、静→動が速いことももちろんですが、動→静の動作がそれ以上に素晴らしいことが多いです。
止まることが大切な理由2つ
(1)パフォーマンスへの影響
サッカーは加速、方向転換、跳ぶなどのいくつもの要素を瞬間的に判断し、爆発的な力の発揮が強く求められます。
そのため、上手に止まれるということは、次の動きへの選択肢を確保するということに繋がるのです!
自分がいつでも思った方向に身体を動かせる状態にキープしておくことは最も大切な要素だと思います。
(2)ケガのリスクを減らす
スポーツでケガが多い場面の一つに、着地や止まった際に静止できなかった為に、自分の身体をコントロールすることができずに上体が流れてしまって、それを防ごうとして膝を捻って無理やり止まろうとし、半月板や前十字靭帯損傷などの大怪我となる場面が多々あります。
特に育成年代に多い、「オスグット」を発症する選手のほとんどが止まり方に大きな問題があると思います。
彼らに共通するのは、地面を滑るように止まろうとしたりする、また膝が身体の一番前に出てしまうような姿勢で止まることです。
トレーニングの方法
BOSU(バランスドーム)などを利用して、不安定な場所で止まる動作を行なっていきます。
BOSUなどの器具があれば良いですがない場合のことがほとんどだと思いますので、座布団やクッションなどを踏み台にしてみましょう。
ただむやみやたらに回数をこなすのではなく、使っている筋肉や姿勢の角度などを意識して行い、動画などで確認・修正しながら行うことです。
大切なポイント
イブラヒモビッチ選手が前十字靭帯損傷のリハビリの際に行っていた止まる動作のトレーニング。
怪我からの復帰に向けてこのような基礎的な動作の見直しは必須。
止まる動作の際に膝が左右にぶれたり(特に内側に)すると、再受傷する可能性は高まる。
膝で動きをコントロールする癖は改善すべき。 pic.twitter.com/LHfwtdA3Gn— 奥村正樹(スポーツトレーナー/physiotherapist) (@Masa19901) 2018年5月2日
アスリートがリハビリで最も大切なことは、復帰した際に同じような動作でケガをしないための身体づくりがあります。
あのイブラヒモビッチ選手ですら、ACL(前十字靭帯)断裂時にきちんと行っていた「基礎の止まる動作」のトレーニング、リハビリです。
意識したい3つのポイント!
(1)膝を深く曲げて止まろうとしない
(2)上体は前に倒しすぎない
(3)脛の骨が前方に倒れすぎない
(1)膝を深く曲げて止まろうとしない。
(1)のポイントとしては膝が深く曲がりすぎてしまうと、すでに大腿の筋肉がかなり使われてしまいそれ以上の筋発揮が難しいということ。
試合の最初などのフレッシュな状態であればちゃんと踏ん張っていられるので止まれているかもしれませんが、終盤で疲労している状態だと踏ん張りが効かずに崩れてしまう可能性が一気に高まります。
では、どこに力を入れるべきなのか?
イブラヒモビッチ選手の左足のお尻周りのズボンやシャツに注目してください。
踏ん張った瞬間にピシッと引っ張られるのがお分かりになるでしょうか?
つまり、お尻の部分を意識して止まっているからです。
お尻の筋肉をうまく使いたかったら膝は深く曲げすぎないほうが使いやすい(力が入りやすい)感じがあるのは皆さんお分かりになるでしょうか?
左側が右側(患側)と比べるとピタっと止まれるのはきちんとお尻の筋肉が機能しているからです。
ケガをするとお尻の機能はすぐに低下してしまいます。
(2)上体は前に倒しすぎない。
(2)のポイントは、基本的には上体の角度は深く倒しすぎないこと。(おじぎしすぎないこと)
もちろん場合によっては上体もうまく前傾させて止まる方法もありますが、まずは基礎を固めて欲しいので真っすぐの姿勢を推奨しています。
上体が前に倒れすぎると重心も前方にいってしまいますし、体幹が使えないために、股関節やお尻の筋肉をうまく使うことができなくなってしまいます。
そうなると、①のポイントは逆の膝を深く曲げてなんとかして止まることになってしまいます。
動画を見ても、彼の上体は常に真っすぐなのがご覧になれると思います。
(3)脛の骨が前方に倒れすぎない。
踏み込んだ瞬間の脛の角度に注目!
ほとんど、地面と垂直に近い感じで真っすぐ脛を使っているのがお分かりになってもらえると思います。
これが、オスグットなどの選手は脛が45°位の角度などの角度のついた状態になっている選手などが多いように感じます。
脛の傾きが大きいということはそれだけ膝が深く曲がってしまうことに繋がります。
そうなると①のようなことが起こってしまうわけです。
まとめ
このトレーニングをしたからといって、すぐに実際のサッカーなどのスポーツの動きが劇的に変わることはないかもしれませんが、こういった地道な基礎トレーニングをイブラヒモビッチ選手レベルでもちゃんと取り入れているということはそれだけ大切な要素だということです。
焦らず、地道にコツコツと行うのが最も大事です!
※今回ご紹介した動画は「iamzlatanibrahimovic」様の貴重なinstagram作品です。