今回は1v1の守備に必要なフィジカル要素をイングランドFAの守備の考え方に基づいてご紹介します!
「サッカーは極論、10個の1v1が行われている」(マルセロ・ビエルサ、現リーズ監督)
という言葉があるように、試合で目の前の相手に勝つことは、すなわち試合に勝つ確率を上げてくれるので、その中でも1v1の守備に着目してお話ししていきたいと思います。
1対1の局面に存在する4つのフェーズ
まず初めに、イングランドFAが言う1対1の守備における4つのフェーズについてイメージしてみましょう。その上で、それぞれの局面で必要なフィジカルについて確認していきます。
イングランドFAの4つのフェーズ
(1)Shut Down
(相手との距離を詰める)(2)Slow Down
(減速する)(3)Stay Down
(低い姿勢を維持する)(4)Show Down
(取りきる)
1対1の守備を想像してもらえれば、(1)から(4)まで相手と対峙する際に発生する局面として想像することは難しくないと思います。
では、次に、この4つのフェーズごとに、求められるフィジカルを確認していきます。
フェーズごとに必要なフィジカル
(1)Shut Down(相手との距離を詰める)
最初の「相手との距離を詰める」フェーズでは、加速力とスピード(スプリント能力)が求められます。
相手の考える時間や余裕を奪うためにも素早く間合いをつめる必要があります。
(2)Slow Down(減速する)
2番目は「減速する」フェーズです。素早く相手との距離を詰めるスプリント能力に対して、それを瞬時に減速させる能力がここでは必要になります。
相手に近づくにつれて、文字通りスピードを落とす必要があります。そのままスピードで相手に突っ込むと入れ替わる可能性が高くなり、一転ピンチに陥ることになるからです。
(3)Stay Down(低い姿勢を維持する)
3番目は「低い姿勢を維持する」フェーズですが、相手の動作に対して瞬時にリアクションできるリアクション能力、つまり対峙する姿勢が大切になります。中でも、どの程度低い姿勢を作るかが大切です。
イングランドでは、Soft Kneeと言って、膝の力を少し抜くことで、相手への対応がよりよくなると言われているのと、膝が伸びきって高すぎる重心でも対応が遅れます。
膝の力を少し抜いた状態で低く構えられることがポイントです。
(4)Show Down(取りきる)
最後の取りきる要素では、半身になって相手を一方向に誘いだし、ボールを取りきるフェーズです。
ここでのフィジカル要素は「相手に振り切られないアジリティ」や体を当てる「コンタクトスキル」が求められます。
1対1に必要な6つのフィジカル能力
総合してまとめると1v1の守備では以下の6つの能力が求められます。
1、加速 2、スピード 3、減速 4、リアクション能力 5、アジリティ 6、コンタクトスキル
トレーニングでの落とし込み
これらの要素はバラバラにトレーニングすることができますが、それが1v1に落とし込まれるかはわかりません。
スピードや加速・減速、アジリティは個別にトレーニングした方がいいかもしれませんが、減速するタイミングや低重心、コンタクトスキルは実際の1v1の数をこなさないと向上できません。
ですので、コーチの視点から言えば、練習や試合の中で素早く寄せる、止まる、対応するということを強く意識することで、1v1の守備は向上していくと考えています。
参考動画でイメージしよう
— . (@SSVideo20) March 17, 2020
4つのフェーズを意識しながらこちらの動画を参考にしてみてください。
特に、以下の2つのシーンは(3)Stay Downと(4)Show Downの局面が参考になります。
低くなりすぎず、相手のアクションに対して素早く反応できる反応スピードの速さを確認するにはとても良いシーンだと思います。
(1)0:10〜0:14秒の場面
(2)1:05〜1:09秒の場面
まとめ
今回は普段しない、ひとつのプレーを分解して、それぞれのフィジカル要素を紹介してみました。
守備の要素をフィジカルの視点から分解することで、自分が弱いフェーズを理解し、フィジカル的に強化できる部分がわかったり、普段のトレーニングでもプレーシーンにリンクさせながらトレーニングに取り組むことに生かせるのではないでしょうか?皆様の理解と強化に繋がれば幸いです。
さらに深掘ります!
より詳しく「賢く効果的な守備」を理解したい選手や指導者の方は、こちらの記事も参考にして見てください。
イングランドのDNAを元に守備を深掘りし、理解を深めた上で、練習メニューの提案まで落とし込んでいます。
>>>【4S:賢く効果的な1vs1の守備とは】マーレー志雄|note
※今回ご紹介した動画は「@SSVideo20」様の貴重なtwitter作品です。