今回は、ユベントスで行なわれていたメディシンボールを使った対人のエクササイズを紹介します。
このエクササイズではメディシングボールをお互いに抱えて押し合ったり引き合ったりするのですが、筋肉の収縮の特徴を活かすことで、滑らかで脱力した動きを生み出すための伸筋を意識した効果的なエクササイズとして行うことができます。
【滑らかで脱力した動きを生み出す】伸筋を意識したトレーニング
筋肉の収縮の特徴の違いとして、屈筋と伸筋に分けることができます。
屈筋とは、体の中心に向かって収縮する筋肉のことを指し、伸筋は反対に体の外側に向かって収縮する筋肉のことを表します。
腕の筋肉で例を出すと力こぶと呼ばれる上腕二頭筋は屈筋で、その反対にある上腕三頭筋が伸筋になります。
パフォーマンスの高いアスリートは、この伸筋を優位に働かせる傾向が強い特徴があります。
これはなぜかというと、屈筋は体の緊張を生み、伸筋は体を脱力させるために必要な要素だからです。体を脱力してしまうと体に力が入づらくパフォーマンスが落ちてしまうと思う方もいるかもしれませんが、それは間違えで、無駄なく効率的に体を動かせるようになるには脱力、つまり力を抜けることがとても大事になります。
屈筋が体の緊張を生む理由
屈筋が体の緊張を生むことに関しては想像してもらうとわかりやすいですが、イライラしたり怒ったりした時には肩が上がり、握り拳をするような体の動作をします。
また、何かに怖がったり悲しい気持ちになった時にも体を抱え込むような姿勢を自然ととると思います。これらの動作を作るのも屈筋の役割になります。
そして、これらは体を防御するための反応でもあり、パフォーマンスを上げる体の使い方とは逆になります。また、普段の姿勢からも緊張しやすい体かどうかを知ることもできます。
その一番簡単な特徴としては、
猫背姿勢です。この猫背姿勢では、骨盤が後傾し背中が丸くなって肩が上がって首が前の位置にあり、これもまさに屈筋優位の姿勢で緊張しやすい傾向にあります。
以上のように筋肉の収縮の特徴を理解することで、伸筋の筋肉に意識を向けて体を脱力させやすくし、パフォーマンスを向上させることができるようになります。
これらのことを意識して今回のエクササイズを見ていきましょう!
トレーニング方法
写真のようにメディシングボールを抱えこみ、お互いに引き合っていきます。
そして、2つ目として同じようにメディシングボールを抱えこみ、今度はお互いに押し合っていきます。
ポイント
このエクササイズのポイントを3つ紹介します。
1)骨盤を立て、股関節を中心に使う
上半身を少し前傾目にして骨盤を立てることで、股関節の捉えの精度が上がり股関節周りの筋肉をよく使って、メディシンボールを押し合うことができます。そして、伸筋を中心とした体の深部そして後ろ側の筋肉をより使えるようになるので、脱力もしやすくより外側に向けての力の出力が高くなります。
2)背中の筋肉を使う
押したり引いたりする両方の場合で、この背中の筋肉を使えることがとても大切になります。この背中の筋肉を使うには主に、股関節を中心に使えるようになっていることプラスで背中がしっかりと伸びていることがとても重要になります。その姿勢を取れるのと同時に、肩を下げ脇の下を意識しながら腕を使えるとより背中を使った動作ができるようになります。
3)歯を食いしばらないようにする
歯を食いしばることに使う筋肉は屈筋であり、歯を食いしばることで全身の屈筋を活性化させてしまい、結果として体全体の緊張を高めてしまいます。バスケットで有名なマイケルジョーダンやオランダのスピードスケートの金メダリスト、キエルド・ナウシュなどの一流アスリートは、プレー中に舌を出したりして顎の筋肉がリラックスしているのがよく見られます。また、歯並びの矯正でもパフォーマンスが上がったという声を聞くのは、この顎の緊張により体全身の緊張を生むことも関係していると考えられます。
まとめ
今回は、屈筋・伸筋の特徴の違いを理解することで体の緊張をとり、脱力させやすくしパフォーマンスが上がる話をさせていただきました。
面白いことに、体の緊張とメンタルの緊張もリンクしていることが多く体の緊張を取ることでメンタル的な緊張を下げることができることも実際に起こります。
筋トレでは力こぶをでかくすることや、シックスパックをくっきりさせるような鏡に映りやすい体の部位を鍛えがちですが、それだけでは体の緊張を生みやすくしてしまうので、伸筋である体の後ろの筋肉をバランスよく鍛えていくことをお勧めします。
このような考えをもとにトレーニングをしてみてください。
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※今回ご紹介した動画は「Juventus」様の貴重なyoutube作品です。