はじめに
今回はこちらの2014年に行われたアヤックスの筋力・コンディショニングトレーニングの動画中からメディシングボールを持ってジョグするトレーニングを考察していきます。
今回紹介するトレーニング以外でもそうですが、こちらの動画でみられるトレーニングはコンテクスチュアルトレーニングで有名なオランダ人のフラン・ボッシュがデザインしたものだと考えられます。
僕自身もこのトレーニング法に関して少しかじった程度なので、今回のトレーニングを解説するのはおこがましいですが、自分の意見も踏まえた上で解説させていただきます。
なぜ、頭の上にメディシンボールを持ってジョギングするのか
この疑問が一番すぐに浮かんでくることでもあると思いますし、一番知りたいことでもあると思いますので話していきます。
フラン・ボッシュは書籍『コンテクスチュアルトレーニング, p70』で、
「マッスルラックスと共収縮との関わりは、スポーツのパフォーマンスを決定する要因として最も重要なものの一つである。」
と述べています。
カタカナ用語や専門用語で全くもってチンプンカンプンですが、少し噛み砕くと…
マッスルラックスとは、筋肉が緩んでいる状態から収縮可能まで引き延ばされる時間のことを指します。つまり輪ゴムで言うと緩んだ状態からピーンと張った状態まで伸ばされる時間のことを言います。
共収縮とは反対の作用をする筋肉同士が引っ張り合うことを言います。つまり綱引きで綱がピーンと張ったような状態です。この共収縮ある状態というのは、筋肉同士が引っ張り合い関節が安定した状態になるという事です。
フラン・ボッシュ曰く
「片足ジャンプにおいては、踏み切り初期の膝屈曲が小さいことが、良い技術を示す特徴となっている。」
と述べています。
つまり共収縮で筋緊張を高めた状態で、筋肉の緩みをできるだけ無くすことでマッスルラックスを制限し、より小さな反動でより大きな力を発揮できると解釈できます。
話を戻すと、このメディシンボールでのジョギングは、両手でメディシングボールを上に押し上げることで、腹部に対しての共収縮を起こし、結果として腹圧をあげ安定性を高めながら、ジョギングしていることになります。つまり、この動作を繰り返すことでより体幹部を意識したジョギングができるようになるということです。
この動作のポイントと個人的な意見
以上のように、フラン・ボッシュが述べていることを自分なりに解釈してみました。
ここからは個人的な意見です。
両手でメディシングボールを押し上げることで、より胸郭を開くことができ腹部深部が引き延ばされ骨盤が前傾し、腸腰筋が使いやすくなります。そしてさらに股関節の捉えがしやすい状態になります。
つまりこの状態でジョギングすることは腸腰筋優位で体を動かすことができるので、体にいい刺激が入ります。
しかし、ここでの条件としてはある程度胸郭の柔軟性があることです。もし胸郭の柔軟性がなければこのトレーニングは逆効果になりえます。
胸郭が硬い状態では、手を真上にあげたときに腰から上半身を反ってしまい腰を痛めたり、股関節の動きを悪くしてしまいます。なので、この動作をしたときに腰をよく使ってしまう人は要注意です。
まとめ
今回は、両手でメディシングボールを持つあげながらジョギングするトレーニングをオランダ人のフラン・ボッシュ理論の個人的な解釈と個人的な意見で解説していきました。
トレーナーで実際にまだこの本を読んでいない人で興味ある人は読んでみてください。難しい本ですが、僕とまた違った解釈になるかもしれないですし勉強になると思います。
自分が書いた他の記事では上肢と下肢を連動させることの重要性を述べてきました。この記事では少し違った視点での上肢と下肢のつながりを書かせていただいたつもりです。是非参考にしてみてください。
<引用文献>
Strength Training and Coordination: An Integrative Approach, コンテクスチュアルトレーニング, 運動学習・運動制御理論に基づくトレーニングとリハビリテーション, フラン・ボッシュ(著), 谷川聡・大山圭吾(監訳), 大修舘書店
編集部オススメ記事
※今回ご紹介した動画は「AFC Ajax」様の貴重なyoutube作品です。