今回は、日本代表の招集期間に行っているトレーニングの中で、長友選手が行なっているワンハンドローイングのトレーニングについて解説していきます。
ワンハンドローイングの方法
まず、以下の写真のように片手でダンベルを持ち、反対の手足をベンチの上に乗せて、上半身は真っ直ぐに保ちます。
そこから、ダンベルを肘から持ち上げるように真上に引いていきます。この時にしっかりと広背筋で持ち上げる意識をしながら持ち上げていき、広背筋が収縮し切ったら、ゆっくりとダンベルを最初のスタートポジションまで下に戻していきます。
このワンハンドローイングは広背筋のためのみのトレーニングとして行われることが多いです。
しかし、いくつかのポイントをおさえて行うと、骨盤の安定化の向上や骨盤と胸郭の分離の促進、肩関節の捉えの精度の向上のためのトレーニングとしても行うことが可能になります。
骨盤の安定化、骨盤と胸郭の分離、肩関節の捉え
この3つの言葉はあまり聞かないことではあると思いますが、スポーツパフォーマンスを向上させるためにとても重要になってきますので、これからこの3つについて解説していきます。
ワンハンドローイングの3つのポイント
骨盤の安定化
骨盤の安定化とは、文字通り骨盤がしっかりと安定することなのですが、安定させるためには以下の筋肉がしっかりと機能している必要があります。
内転筋、腸骨筋、大腰筋、腹横筋、多裂筋、臀筋群
これらの筋肉がしっかりと機能していることで、左右の骨盤(寛骨)が内側に方向に引き付けられ、骨盤が安定していきます。骨盤は上半身の土台となるため、ここが安定することでスポーツ動作時に上半身を自由に使えることにもつながります。
ワンハンドローイングの場合は、しっかりと骨盤を前傾させて、お尻を突き出すように持っていき、同時に内転筋を意識していきます。また下腹部に力を入れることで骨盤が安定していきます。そのため、ただ単にベンチの上に脚を乗せるのではなく、両足でしっかりと上記のことを意識して姿勢を取ります。
骨盤と胸郭の分離
骨盤がしっかりと安定していれば、骨盤と胸郭の分離を促進することが可能になります。骨盤と胸郭の分離が進めば進むほど、お腹の深部にある大腰筋が活性化されていきます。そして、重心移動を胸骨レベルで行えるようになるためスポーツ動作においても効率よく動けるようになります。
ワンハンドローイングの場合でも、骨盤が安定した状態で、腕を後ろに引くことで胸椎や胸郭が引いた方向に回旋して、骨盤と胸郭の分離が促進されていきます。骨盤が安定していない場合は、胸郭の回旋の動きにつられて骨盤も回旋してしまうため、分離を促すことができません。
肩関節の捉え
肩関節の捉えとは、手で体を支える時に体幹部の筋肉と肩周りの筋肉が連動して働いた時に自覚できる感覚です。ここで重要な筋肉が主に前鋸筋と広背筋の2つの筋肉で、これらの筋肉は両方とも体幹部まで筋連結によってつながっています。
そのため、肩関節の捉えにより、肩だけの力で体を支えるのではなく体幹部の筋肉も一緒に動員させながら体を支えることができます。エネルギー効率や筋出力を考えた場合には、肩関節の捉えがあったほうがいいことになります。
ワンハンドローイングの場合にも同様で、ベンチに置いている手の方の肩関節の捉えがあることで、肩だけなく体幹部を使って体を支えられます。そして、骨盤が安定していると肩から骨盤まで連動していき、さらに安定した状態でワンハンドローイングを行うことが可能になります。
まとめ
今回は、ワンハンドローイングのトレーニングを骨盤の安定化、骨盤と胸郭の分離、肩関節の捉えの3つのポイントを踏まえた上で、解説していきました。
広背筋だけを鍛えたいと思っている人であれば、このようなポイントを意識することは特に必要ないです。ですが、このようなトレーニングによって最終的にスポーツパフォーマンスを向上させたい方や楽な体の動かし方を習得したい方には是非おさえてもらいたい3つのポイントです。
長友選手のワンハンドローイングもしっかりと安定しながら行えているので、是非動画を見ながら参考にしてみてください。
編集部オススメ記事
※今回ご紹介した動画は「JFATV」様の貴重なyoutube作品です。