今回は、イングランド女子代表チームが実践するバーベルの両脇にゴムバンドで重りを吊したトレーニングを紹介します。
ゴムバンドで重りを吊したバーベルなどの不安定な負荷を与えるバーベルトレーニングは、関節を安定させるための筋肉や体幹部の筋肉への刺激を高める効果があります。
これは普通のバーベルと不安定な負荷を与えるバーベルとの様々な比較研究から明らかにもなっているものです。
近年、怪我の予防やパフォーマンス向上のために関節や体幹部の安定性を高めるトレーニングが注目されていることもあり、このような不安定な負荷を与えるバーベルトレーニングもスポーツ現場のトレーニングで目にすることが増えました。
個人的に印象に残っているものとしては、元ハンマー投げの室伏広治さんが鉄球をバーベルに吊るしていてランジを行うことや鉄球を腰から吊したトレーニングなどです。
吊した重りによって、ランダムな方向に負荷が変わるためにパワーを発揮する大きな筋肉よりもより関節の深部に近い小さな筋肉が活性化されることが期待されます。
では、実際にレーニング方法を見ていきます。
トレーニングの方法
写真のようにバーベルを持った状態で右膝をあげ左足で支えます。
そこから素早く両足を切り替えて、右足が地面につき左足が浮いている状態になります。
そして、すぐにもう一度両足を切り替えて最初のスタートポジションに戻ります。
ポイント
◆初めのスタート時に地面と接している左足がなるべくグラつかないように、股関節を意識してバランスを取ります。股関節が意識できるとお尻の筋肉が使われている状態になります。
◆またこのときに腰は反りすぎずに、軽く胸を張るように意識することもポイントです。頭のてっぺんが糸で天井方向に引っ張られている意識を持つとわかりやすいかもしれません。
◆この股関節から上半身の姿勢を崩さずにキープしながら、両足を素早く2回膝を上げて切り替えます。
◆膝をあげるときに高くあげることを意識すると腰が丸まってきてしまう恐れがあるので先ほど言った姿勢をキープできるよう注意が必要です。
このようなトレーニングで重要になってくるのは、力を思いっきり出しきるということではなく、良い姿勢でなるべく少ない力でトレーニングをすることです。
重量が重くて負荷が高すぎると難易度が上がり、しっかりとしたトレーニング効果が見込めないこともあり得るので、そこの調節はとても大切です。
まとめ
サッカーをプレーしているときに、バランスを崩さなかったり効率よく無駄な力を使わずに動けるようになるには、上記で述べた関節や体幹の高い安定性が必要になってきます。
また、その安定性を得るために身体の内部感覚である中心軸が感じ取れることが大切になります。
今回のトレーニングのように不安定なものを持ちながら片足で立つことや足を素早く切り替える練習は、安定性を高める筋肉に刺激を入れるだけではなく、身体の中心軸の感覚を養うことにもつながるので、ぜひ参考にしてみてください。
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<参考文献>
◆Ostrowski SJ, Carlson LA, Lawrence MA. Effect of an Unstable Load on Primary and Stabilizing Muscles During the Bench Press. J Strength Cond Res. 2017 Feb;31(2):430-434. doi: 10.1519/JSC.0000000000001497. PMID: 27564994.
◆Lawrence MA, Ostrowski SJ, Leib DJ, Carlson LA. Effect of Unstable Loads on Stabilizing Muscles and Bar Motion During the Bench Press. J Strength Cond Res. 2018 Aug 21. doi: 10.1519/JSC.0000000000002788. Epub ahead of print. PMID: 30138240.
◆Lawrence MA, Carlson LA. Effects of an Unstable Load on Force and Muscle Activation During a Parallel Back Squat. J Strength Cond Res. 2015 Oct;29(10):2949-53. doi: 10.1519/JSC.0000000000000955. PMID: 25844869.
※今回ご紹介した動画は「England」様の貴重なyoutube作品です。