今回は、レアルマドリードでも行われている坂ダッシュのトレーニングについて解説させていただきます。このトレーニングは、陸上競技の選手でもより多く取り入れられているものにもなります。そして、走りを改善するためにとても効果的なトレーニングであることが言われています。
坂道と平地の違い
坂道ダッシュと平地でのダッシュの違いというのは、傾斜があるかどうかの違いです。坂道ダッシュでは、この傾斜がある事によって常に重心を上に持ち上げていかないといけないため、地面をより強く押す事が求められます。そのため、トレーニング効果としては、平地のダッシュと比べて体幹部や脚への負荷が高まりやすくなります。さらに、正しい走り方で筋肉を使えているといいトレーニングになりますが、膝や腰に負担のかかるような走り方で行ってしまうと、無駄なところに筋力がついてしまい、逆にパフォーマンスの低下につながることもあるので、注意が必要です。
坂道ダッシュの場合
坂道ダッシュは、筋肉の負荷を高める効果だけではなく、地面を押す力を高め加速を改善する効果もあります。地面を押す力というのは、走りの場面で特にスタートから加速する時に必要になる要素です。加速後のトップスピードでは、車輪のように足を回転させて走ることでトップスピードをキープするため、地面を蹴るという要素がすくなくなります。そのため、この坂ダッシュでのトレーニングは、走り出しから20〜30メートルまでの加速を改善するためのトレーニングとしても用いられることが多くあります。
他にも坂道ダッシュでは、重心を前に位置させる必要性が出てくるため、自然と上半身が前傾して、股関節をうまく使いやすくなる姿勢で走ることができます。しかし、上記でお伝えした通り、正しい体の使い方で走らないと逆効果になってしまう可能性もあるので、坂道ダッシュ時に気をつけなければいけないポイントについて3つ紹介していきます。
3つのポイント
(1)上半身を丸めない
坂道ダッシュ時に上半身を丸めて走らないということが大切です。通常の平地ダッシュよりも坂道ダッシュでは傾斜のためより膝を高く上げて走ることが必要になります。膝を高く上げようとするとどうしても骨盤が寝て(後傾して)上半身も丸める方向に動いてしまいます。(実際に立位で膝を高く上げてみると上半身が丸まりやすくなってしまうことがわかると思います。)しかし、それでは重心を高く保つことができず、推進力を失ってしまいます。そのため、ダッシュをする時には、骨盤を立てて(前傾して)、胸を高く保つことがとても大切になります。
(2)股関節で押す意識
坂道ダッシュでは地面を押す力が必要ですが、股関節でしっかりと地面を押せることがとても大切になります。うまく走れていない人によくみられがちなのが、地面に足がつく時に膝で体重を吸収してそこから膝で地面を押してしまうことです。このように膝中心で、走ってしまうと重心の上がり下がりが激しくなり、効率の悪い走り方になってしまいます。また、膝や腰にも負担が高まるため怪我のしやすい走り方であるとも言えます。膝ではなく股関節中心で地面を捉えられると重心の上下が少なくなり、より小さなエネルギーで推進することができるようになります。そのため、股関節で押す感覚というのがとても重要になります。
股関節で押せるようになるためには、股関節を意識的に使えることが必要になります。以前書いた記事も参考にしてみてください。
【ヒップヒンジを使いこなそう!】股関節を意識的に使えるようにするエクササイズ
(3)足を前に運ぶ意識
上半身をいい姿勢に保ち、股関節で地面を押せるようになれば坂道ダッシュとしては、十分ではありますが、最後にもう一つ意識するポイントをお伝えします。その意識するポイントとは、足を前に運ぶ意識です。これは、走り全般に言えることではありますが、足が地面についた後に前方に素早く大きく足を運ぶことができれば、地面に接地する足の時間も少なくなり、より速く走ることができます。そのため、坂道ダッシュでもこの足を素早く大きく運ぶ意識を持って行うことで、より効果的にトレーニングを行うことができます。
それでは、実際のトレーニングシーンを見ていきましょう。
坂道ダッシュのシーン
上と下の写真のように、レアルマドリードでは坂道ダッシュのトレーニングを行っています。
基本的に、先ほどの意識するポイントを抑えて、全力で坂道を上がっていきます。
まとめ
今回は、レアルマドリードでも行われている坂道ダッシュについて解説してきました。
坂道ダッシュは主に地面を押す力を高め、加速を改善するために行われるトレーニングです。効率よくトレーニングを行って行くためには、上半身をまるまない、股関節で地面を押す、足を前に素早く大きく運ぶという3つのことがとても大切になります。
走りの加速を改善し、足腰を鍛えたい人はぜひトレーニングに取り入れてみてください。
※今回ご紹介した動画は「Real Madrid」様の貴重なyoutube作品です。