揚げ物はお好きですか?
唐揚げやエビフライ、とんかつ、天ぷら、フライドポテトなどなど・・・揚げ物にもいろいろありますね。
揚げ物が大好物!という方もいれば、揚げ物は苦手という人もいらっしゃるでしょう。
中には、大好きだけど「アスリートとして」「体づくりのために」と我慢していたり、控えていたりする方もいらっしゃるかもしれません。
ご存知の通り、揚げ物は油の摂取量が増えるので摂取エネルギー量も増えやすくなりますし、エネルギー産生栄養素のバランスの脂質割合が高くなる原因になりやすい調理法です。
揚げ物のこと、あぶらのことを理解してうまく付き合っていきましょう。
アスリートの脂質摂取
北米の栄養・スポーツ医学関連3団体から示されているスポーツ栄養の公式見解には脂質の摂取に関して下記のように示されています。
◆脂質に関しては食事摂取基準のような一般人向けの基準値を参考にしながら、アスリート一人一人のトレーニングレベルや体組成の目標に合わせて個別化されるべきである。
◆減量や体組成の改善を目的として脂質の摂取量を過度に制限するケースが見られるが、このような制限に伴い脂溶性ビタミンや必須脂肪酸9、特に n-3 脂肪酸などの様々な栄養素の摂取量を減少させる可能性が高いため、アスリートはエネルギー摂取量の20%未満の脂肪摂取量を慢性的に実施することは控えるべきである。
日本の場合は日本人の食事摂取基準(2020年版)に脂質の摂取基準が下記のように示されています。
揚げ物の吸油率
吸油率とは調理によって材料が吸収した油の分量を割合で表したものです。
吸油率は揚げ物の種類や材料、切り方などによっても変化します。次の表では、揚げ物の種類による吸油率の違いを確認できます。
食材や切り方による変化も大きいため、同じ調理法でも幅がありますが、衣に厚みがあり、油が入り込む部分が多い方が吸油率は高くなります。
では、具体的にどれくらい油の摂取量に差が出てくるのか、ささみ(全て100gあたり)を例に見てみます。
同じ食材でも、揚げ物調理では脂質の摂取量に10倍以上の差が出ることもあるということを理解しておきましょう。
揚げ物の摂取頻度と注意点
前述のように脂質の摂取量には目標量が定められていて、脂肪酸の種類によっても目標量や目安量が定められています。
過剰摂取に気をつけたい飽和脂肪酸は主に動物性の食品に多く含まれますが、揚げ物で油の使用量が増えることによっても摂取量が増えます。
n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸は必須脂肪酸であり、食べ物から摂取する必要のある脂肪酸ですが、熱や光、空気で酸化しやすいという特徴があります。
酸化した脂肪酸はがんや老化、動脈硬化を引き起こす過酸化脂質となってしまうため、高温調理の揚げ物ではあぶらの質を低下させてしまうことになります。
下記のチェックポイントに当てはまる方は、揚げ物の食べ方を是非見直してみてください。
□ 1日2回以上揚げ物を食べることがよくある(昼も夜も揚げ物 など)
□ 主菜として揚げ物を食べることが週4日以上ある
□ 1食で食べる揚げ物の量が多い(1人前以上の主菜、フライドポテトと唐揚げ など)
□ コンビニの揚げ物系ホットスナックや揚げ物系のスナック菓子をよく食べる
また、脂質は胃に止まる時間が長く、消化に時間がかかります。
疲労が強い時や、素早い疲労回復をしたいとき、大事な試合やトレーニング前などは控えておくことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
揚げ物は絶対に食べたらいけないものではありませんが、脂質の摂取量を増やしやすいことや脂質の質を低下させやすいことなどを理解した上で、食事に取り入れていきたいですね。
参考文献
(1)日本人の食事摂取基準2020年版
(2)食品成分表2020本表編 女子栄養大学出版部
(3)食品成分表2020資料編 女子栄養大学出版部
(4)e-ヘルスネット 厚生労働省
(5)American College of Sports Medicine Joint Position Statement. Nutrition and Athletic Performance Med Sci Sports Exerc 2016 Mar;48(3):543-68.
(6)2020年版スポーツ栄養学最新理論 寺田新(市村出版)
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