「運動誘発生低血糖」、もしくは、「インスリン・ショック」という言葉を聞いたことはありますか?
試合や練習、トレーニング前にエネルギー補給として補食をとるアスリートはたくさんいらっしゃると思います。
「運動誘発生低血糖」について知り、リスクを回避して、エネルギーチャージができるようにしていきましょう!
運動誘発生低血糖とは
運動開始の30~45分程度前に多量の糖質を摂取すると、運動開始時には血糖値が高くなっています。しかし、運動開始と同時に血液中のインスリン濃度が上昇し、血糖値が急激に低下してしまい低血糖症に陥ることがあります。
この現象を運動誘発生低血糖やインスリンショックと言います。
低血糖で起こる症状
では、低血糖ではどのような症状が起こるのでしょうか。
そもそも血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことで、一定の範囲に保たれています。
空腹時(食前)の血糖値は70~100mg /dL程度で、食後は食べたものの内容によって上昇します。
そして、血糖の濃度が上昇すると、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが働き、血糖値を下げます。
低血糖とは血糖値が70mg /dLを下回り、必要以上に低くなってしまった状態です。
<低血糖状態になると>
発汗やふるえ、疲労、脱力感、思考力の低下などの症状が生じ、スポーツシーンにおいてもパフォーマンスの低下につながる恐れがあります。
しかし、血糖値の急激な低下が生じてもパフォーマンスに大きな影響をみとめない場合もあり、血糖値の変動やそれに伴う症状や体感には個人差があります。
「練習前にしっかり糖分を補給したはずなのに、なんだかだるいな」「集中できないな」など、気になる症状がある人は、一度自分の補食の習慣を振り返ってみてください。
運動誘発生低血糖を防ぐには?
糖質摂取のタイミング
ポイントは血糖値の上昇、インスリン濃度の上昇のピークと運動開始のタイミングをずらすことです。
◆運動の60〜90分前に糖質を摂取
→血糖値やインスリンの濃度のピークを超えてから運動を開始することができる。
摂取する糖質の種類
ポイントは血糖値とインスリン濃度の上昇スピードをコントロールすることです。
◆GI値が低い糖質(果糖など)を摂取
→GI値が低く、血糖値の上昇が緩やかなものを摂取することで、運動誘発生低血糖が
起こりにくくなる。
G I値が低いものの中には、脂質や食物繊維を豊富に含むものもあります。
胃に食べ物が残っている感覚やお腹のハリなどを感じやすい(ガスが溜まりやすい)人などは注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?
「エネルギーをしっかりと補給しておこう」と補食を摂る場合には、運動誘発生低血糖のリスクを回避できるように、何を食べるか、どれだけ食べるか、いつ食べるか、しっかりと事前に計画しておく必要があります。
また、練習試合や普段の練習を活用して試しておくことも大切ですね!
自分にとってベストな補給計画を作りましょう!
参考:寺田新 スポーツ栄養学: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる
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