社会人アスリートや学生アスリート、ジュニア選手とお話をしているとよくこんな悩みを耳にします。
「食事も睡眠もとっているけど、疲れが抜けない・・・」
同じことを感じている人も多いのではないでしょうか?
今回は、食事、栄養、睡眠、トレーニング、どれも意識高く取り組んでいるのに、疲れが取れない方が陥りがちな「食事が疲労回復を妨げる!」についてです。
注目したいポイントは時間
社会人アスリートや学生アスリートとプロの違いは、本業が別にあるということです。
社会人であれば仕事、学生なら学業(学校)です。
朝早くから仕事や学校に行き、夕方から夜にかけて限られた時間で効率的にトレーニングに励む、トレーニング後はその日失った栄養を補給するために意識の高い食事を行い、就寝につくそんな流れではないでしょうか。
この1日の生活の中でもっとも注目したいポイントが、「トレーニング後の食事が遅くなること」です。
ココが食事が疲労回復の妨げに影響してきます。
遅い時間の食事がなぜ疲労回復の妨げになるのか?
食事が睡眠を妨げる
食事をすると、食べたものから栄養を体に取り込むために体内で消化活動が活発になり、体の深部の体温(深部体温)が上昇します。この深部体温は本来、体が睡眠の準備をする際に減少していくのが良い睡眠に向かうポイントだと示唆されております。(1)しかし、夜遅い時間に食事をすると、深部体温が上昇し、寝るための準備ができなくなってしまいます。
睡眠が妨げられると成長ホルモンに影響
成長期のジュニア選手の成長や成人選手の疲労回復、筋肉合成にも欠かせないものの1つが成長ホルモンです。この成長ホルモンは就寝中にもっとも分泌されるのですが、分泌量は睡眠の質と大きく関係してきます。
深い眠り(ノンレム睡眠)に入った時ほど成長ホルモンの分泌が上昇し、眠りが浅いと減少することがわかっているからです。
つまり・・・
結果:「夜遅い食事」→「疲れが抜けない」
「夜遅い食事」→深部体温上昇→睡眠準備を妨げ→睡眠の質低下→成長ホルモン低下→「疲労が抜けない」
生活リズムを変えずに対策する方法!
とはいえ、仕事や学業で、夜の食事の時間を変える=生活リズムを変えることは容易なことではありません。無理に生活習慣を変えるのではなく、今の環境でできることから始めましょう!
【5つの睡眠の質をケアした対策】
①:練習後から食事までに時間があく人は練習後直ぐに軽い補食を取り入れましょう
糖質とたんぱく質を中心に摂取していきましょう。
タンパク質豊富なゆで卵やタンパク質、ビタミン・ミネラルが豊富なカシューナッツなどもオススメです。
②:遅い時間の食事は消化に良いものを摂りましょう
揚げ物や脂身のお肉は避けて、煮物など調理で工夫を加えるのもGoodです。
③:消化に良い食べ合わせを工夫しましょう
例えば、お魚には大根おろし、お肉にはパイナップルを添えるなどして、消化をサポートする組み合わせ。
④:しっかりと咀嚼をして消化負担を軽減させてあげましょう
咀嚼することで、唾液でデンプンの分解ができるだけでなく、食べ物をペースト状にして消化しやすい状態になります。
⑤:消化酵素サプリメントを活用してみる
消化酵素サプリメントは海外ではプロテインにも配合されるくらい、スポーツシーンで一般的に栄養吸収や腸内環境のケアを考えた時に使用されています。
国内では酵素が入っていない酵素ドリンクが流行り、スポーツシーンでの利用はまだそれほど認知されていませんが、海外の選手が取り組むように消化を意識して、酵素ドリンクではなく、消化酵素がきちんと入った消化酵素サプリメントは選びましょう。
より深く、睡眠の質と消化について書いた記事はこちら
まとめ
思い当たる節、今直ぐ取り組めそうな対策はありましたか?
ちょっとしたことですが、食事もトレーニングも休養もせっかくの努力が逆効果にならないよう、ご自身のライフスタイルや性格に合わせて良い習慣を取り入れていきたいですね。
参考文献
(1)「平成16年度 ヒートアイランド現象による環境影響に関する調査検討業務 報告書」https://www.env.go.jp/air/report/h17-02/03-1.pdf(2020.01.21)
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