暑熱対策として、暑さに体をならす(=暑熱順化する)ことの重要性や具体的方法について、前回のコラムでご紹介しておりました【興味がある方はこちら→暑さに体をならす ~夏本番を迎える前からの暑熱順化が重要~】
暑熱順化中は普段よりも多くの汗をかくため、脱水しやすくなります。
脱水状態では、せっかく暑熱順化をしてもその効果が半減してしまいますので、いつもよりもしっかり水分をとることが重要です。
「しっかり水分をとる」ことは、決して、ミネラルウォーターを沢山飲むことではありません。(これは、かえって低ナトリウム血症を招く恐れがあるため、適切な水分補給とは言えません。)
暑熱対策のための水分補給は、水分の「種類」「量」「飲み方」がポイントとなります。
今回は、水分の「種類」に焦点を当てて、解説をさせていただきます。
おすすめの水分の種類とは?
①水分とミネラル(電解質)を一緒に補給できるドリンク
特に、1時間以上の運動や暑熱順化のための入浴をする前後などでは、多くのナトリウム(塩分に含まれる成分)が汗から失われます。
そのため、100ml中に40~80mg程度のナトリウムが入っているドリンクがおすすめです。
また、ナトリウム以外にも、汗からミネラル(マグネシウム、カリウムなど)が失われるため、これらのミネラルを複合的に補給できるドリンクであれば、さらに良いでしょう。
②糖質とナトリウムの同時摂取ができるドリンク
ナトリウムと糖質が一緒にとれるドリンクを選ぶと、水分の吸収がより早くなります。
特に、1時間~90分以上の運動や活動であれは、糖質が配合されたドリンクを摂取することで、パフォーマンスの維持・向上にも役立つでしょう。
③保水性の高いドリンクを選ぶ
運動時のみならず安静時においても、保水性の高いドリンクを利用することで、脱水が予防でき、暑熱対策や暑熱順化に役立つでしょう。
<保水性の高いドリンク一覧>
・牛乳、スキムミルク
・お茶(カフェインを含まないもの)
・水
・炭酸水
<保水性が低いドリンク一覧>
・紅茶やコーヒーなどのカフェイン飲料
・アルコール飲料
※水の保水性を「1」としたときに、それ以上のドリンクが「保水性が高い」、それ未満のドリンクが「保水性が低い」とされています。
いかがでしたか?
暑熱順化の効果を高めるためにも、適切な水分補給は重要です。
暑熱順化や夏場の運動時には、ナトリウムとその他ミネラル、さらには糖質が上手に摂れると良いですね。
ドリンク選ぶ時には、商品の裏(あるいは横)の「栄養成分表示」を確認してみましょう。
また、日常的に保水性の高いドリンクを摂取することも、夏の水分補給において重要です。
次回は、「量」「飲み方」について補足したいと思います。
参考文献:IOC, Beat The Heat during the Olympic Games Tokyo 2020, 2019年.