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【暑熱対策における水分補給~ドリンクの種類について考える~】
2022.07.12(更新日2022.08.23)

 

暑熱対策として、暑さに体をならす(=暑熱順化する)ことの重要性や具体的方法について、前回のコラムでご紹介しておりました【興味がある方はこちら→暑さに体をならす ~夏本番を迎える前からの暑熱順化が重要~

 

暑熱順化中は普段よりも多くの汗をかくため、脱水しやすくなります。

脱水状態では、せっかく暑熱順化をしてもその効果が半減してしまいますので、いつもよりもしっかり水分をとることが重要です。

 

「しっかり水分をとる」ことは、決して、ミネラルウォーターを沢山飲むことではありません。(これは、かえって低ナトリウム血症を招く恐れがあるため、適切な水分補給とは言えません。)

 

暑熱対策のための水分補給は、水分の「種類」「量」「飲み方」がポイントとなります。

今回は、水分の「種類」に焦点を当てて、解説をさせていただきます。

 

おすすめの水分の種類とは? 

①水分とミネラル(電解質)を一緒に補給できるドリンク

特に、1時間以上の運動や暑熱順化のための入浴をする前後などでは、多くのナトリウム(塩分に含まれる成分)が汗から失われます。

そのため、100ml中に40~80mg程度のナトリウムが入っているドリンクがおすすめです。

 

また、ナトリウム以外にも、汗からミネラル(マグネシウム、カリウムなど)が失われるため、これらのミネラルを複合的に補給できるドリンクであれば、さらに良いでしょう。

 

②糖質とナトリウムの同時摂取ができるドリンク

ナトリウムと糖質が一緒にとれるドリンクを選ぶと、水分の吸収がより早くなります。

特に、1時間~90分以上の運動や活動であれは、糖質が配合されたドリンクを摂取することで、パフォーマンスの維持・向上にも役立つでしょう。

 

③保水性の高いドリンクを選ぶ

運動時のみならず安静時においても、保水性の高いドリンクを利用することで、脱水が予防でき、暑熱対策や暑熱順化に役立つでしょう。

 

<保水性の高いドリンク一覧>

・牛乳、スキムミルク

・お茶(カフェインを含まないもの)

・水

・炭酸水

 

<保水性が低いドリンク一覧>

・紅茶やコーヒーなどのカフェイン飲料

・アルコール飲料

 

※水の保水性を「1」としたときに、それ以上のドリンクが「保水性が高い」、それ未満のドリンクが「保水性が低い」とされています。

 

いかがでしたか?

暑熱順化の効果を高めるためにも、適切な水分補給は重要です。

暑熱順化や夏場の運動時には、ナトリウムとその他ミネラル、さらには糖質が上手に摂れると良いですね。

ドリンク選ぶ時には、商品の裏(あるいは横)の「栄養成分表示」を確認してみましょう。

また、日常的に保水性の高いドリンクを摂取することも、夏の水分補給において重要です。

 

次回は、「量」「飲み方」について補足したいと思います。

 

参考文献:IOC, Beat The Heat during the Olympic Games Tokyo 2020, 2019年.

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河村亜希

・管理栄養士・公認スポーツ栄養士・IOC Diploma in Sports Nutrition・オーストラリア国立スポーツセンター(AIS)アシスタントスタッフ(2016年~)・全日本スキー連盟ハイパフォーマンスサポートスタッフ(2016~2018年)・日本バレーボール協会 医科学スタッフ(2017~2021年)・日本スケート連盟フィギュアスケート部医科学スタッフ(2020年~現在)などの日本代表チームに対する栄養サポート経験等を経て、現在は大学で研究活動にも取り組んでいる。
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