ビタミンDという栄養素の特徴や働きをご存知ですか?
ビタミンD は食事から摂取することももちろん大切な栄養素ですが、日光の紫外線によって生成するという特徴もあります。
これからの季節は日照時間が短く、日光を浴びるチャンスも減っています。日中は仕事や授業を受けるために室内にいて、外に出る頃にはもうかなり日が落ちているという方もいらっしゃるかもしれません。
ビタミンDの役割を知り、不足させない工夫や食習慣を身につけましょう。
ビタミンDの特徴と機能(1)
特徴
ビタミンDはきのこに含まれるビタミンD2と魚などに含まれるビタミンD3に分類されます。
含まれている食品が限られていることもビタミンDの特徴の一つと言えます。そして、もう一つの特徴は皮膚上で生成されるということです。プロビタミンD3という形で私たちの皮膚状に存在しているのですが、日光の紫外線によってプレビタミンD3となり、さらに、体温によってビタミンD3が作られます。
機能
<ビタミンDの働き>
◆カルシウムとリンの吸収を促進し、骨の健康を維持する働きがあります。
◆免疫機能の維持や向上にも関わっています。
<不足すると>
小児ではくる病、成人では骨軟化症が引き起こされ、軽度の不足であっても低カルシウム血症となる場合もあります。
<スポーツシーンにおいて>
スポーツとビタミンDの関係に注目が集まっており、筋合成や筋肉の機能維持などに関わっているということもわかってきています。
アスリートこそ気を付けたいビタミンD不足
スペインのアスリートを対象に行われた研究では、次のように報告されています。(2)
◆対象選手の80%以上がビタミンD不足であった
◆屋外競技の選手に比べて、屋内競技の選手の血中ビタミンD濃度が低かった
ビタミンDの基準値
ビタミンD不足の基準や摂取すべき量の基準を紹介します。
「ビタミンD不足・欠乏の指針」(日本内分泌学会・日本骨代謝学会)
【血清25―ヒドロキシビタミンD濃度】
充足:30ng/ml
不足:20ng/ml以上30ng/ml未満
欠乏:20ng/ml未満
「ビタミンDの摂取目安量」(日本人の食事摂取基準2020年版)
18歳以上・男女共通:8.5μg /日
(耐容上限量:100μg /日)
【活用にあたっての留意事項】
生活圏の緯度、季節、屋外活動の量、日焼け止め使用の有無などによって、各個人によってビタミンD摂取の必要量は異なるため、各個人の生活環境や習慣に配慮する必要があるとされています。
ビタミンDを豊富に含む食べ物
では、ビタミンDの不足状態に陥らないようにするために、どんな食材を積極的に取ると良いのでしょうか。
1食分の目安量あたりにビタミンDを豊富に含む食材を紹介します。
穀類や野菜類にはほとんど含まれておらず、肉類にもわずかしか含まれません。
そのため、ビタミンDを十分に摂るには魚やきのこ類の摂取が欠かせません。
まとめ
いかがでしたか?
人によっては魚やきのこをほとんど食べていないという方もいるかもしれません。
スポーツに励むためにも、健康のためにもビタミンDの摂取を見直しましょう。
私は病院の栄養科で働いていた頃、職場が地下だったためお弁当には毎日魚を入れていました。
室内競技や職場の環境、生活習慣を振り返り、「紫外線を浴びる機会が少ない」と気づいた人は、ぜひ積極的に魚やきのこを食べる習慣をつけてみてくださいね。
(1) 日本人の食事摂取基準2020年版
(2) Valtueña, Jara; Dominguez, D.; Til, L.; González-Gross, M.; Drobnic, F. High prevalence of vitamin D insufficiency among elite Spanish athletes; the importance of outdoor training adaptation Nutrición Hospitalaria, vol. 30, núm. 1, julio-, 2014,